小説「死神の手(仮)」7

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 乱入してきた人影は斧を地面から抜いていた。
「切られたのか。その斧で……」
 絶句するしかなかった。死神の手はこの世の物体に接触されないはずではなかったか。
 では、あの斧はこの世のものではないということになる。
「貴様なにものだ!?」
 酒井の誰何に緊張感が込められているのもむべなるかな。
「それを訊くのはわたしのほうです。いえ、訊く必要はありませんね」
 乱入者が斧を肩口で構えた。
 三日月のはかない光が銀色の斧に反射し、乱入者──彼女の体を照らしていた。巨大な斧には似合わない小柄な体型で、学校の制服だろうセーラー服を着ていた。動きやすさを考慮してかスカートは短く、白いふとももが半分くらいのぞいている。
「奇妙な特技をお持ちのようですが、わたしにも通用しますかどうか」
 彼女が間合いをはかるように、じりじりとすり足で近づいてくる。斧の角度がかわったためか跳ね返る光が頭部にあたった。
 体格と比例するように顔も小さく、陶器を思わせるような滑らかな肌だった。涼やかな目元には力がこもり意思の強さを伝えている。スカートと同じで動きやすさに重きを置いているのか、髪型はショートカットであった。脱色したり染めたりせず黒髪のままなのは、夜闇にまぎれやすくするため──と、これはさすがにうがちすぎか。

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このページは、浅川こうすけが2007年6月25日 18:28に書いたブログ記事です。

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