短編小説「さらば、富士山」

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 日本人の祖先については諸説あるが、真実はおっぱい星からきた異星人なのであった。
 彼らは地球に降り立つや、失意のどん底に突き落とされた。膝を折り、涙はらはら、地面に染みをつくってしまうほどに。
 心がポッキリと音をたてたのもむべなるかな。安住の地を求めて辿りついたのに、緑の星にはおっぱいが存在しなかったのだ。
 だが、彼らのおっぱい魂には、不屈の精神が宿っていた。おっぱい製造機ともいうべき、ワンダフル装置を完成させたのである。
 装置からのびる砲身が、地面にむいた。シビビビビと、不思議光線が照射される。命中した箇所が隆起し、巨大な岩山ができた。おっぱい製造機が、ドリルで岩山を削りながら、中心部へと進んでいく。
 そうして、異性人たちが見守るなか、岩山から宇宙的人工皮膚がにじみだし、あれよあれよと、見上げるほどのおっぱいが完成した。
 ぷるるんと震えたことによって、でっかいトカゲが絶滅したが、随喜の涙を流すおっぱい星人にとって、そんなことは些事だった。
 あれから何万年たったのか。
 異星人たちは、みずからの出自を忘れてしまった。巨大おっぱいも、皮膚保持機構の不具合でスリープ状態となり、岩山部分がむき出しとなった。
 たったいま、霊峰富士がぷるるんおっぱいと化したのは、だから、長い長い眠りから覚めただけなのだった。

   (完)

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このページは、浅川こうすけが2007年4月 2日 00:00に書いたブログ記事です。

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