小説「星人募集中4」(推敲前)
「レ、レオン」
たっぷり絶句したあと、折原はようやっと言葉をついだ。
レオン──それは男の名前であった。ギャレット号のクルーのひとりである。金髪碧眼で長身の男だ。
「お前も脱出できてたのか! 冗談きついぞ」
「動くな!」
レオンがさげていた武器を構えなおした。彼の持つ武器は、はたして拳銃であった。だが、ギャレット号にそなえられていたものとは違うタイプのようだ。かなり旧式の拳銃である。
「おい。いいかんげんにしろ、レオン」
「──レオンなんて男は知らない。オレは山田だ」
「は? 山田? 日本人の名前じゃないか。もうちょっとましな
」
「動くなっていっている」
拳銃を持つ腕に力がこめられた。
折原はひざ立ちのまま両足にバネをためた。いつでも動けるように用心したのだ。
眼前のレオンは奇妙だった。山田と名乗っていることもそうだが、使用している武器も不自然だ。もしかしたら、本人がいうようにレオンではないのかもしれない。だとすれば──ほんとうに敵となるか。
「ああ、その、なんだ。山田くん、といったか。武器をさげてくれないか。その──間違えて悪かったよ。知り合いと似てたもんでね」
とりあえず話をあわせた。
「いやいや、いいんですよ。この世には似た人間が三人はいるといいますからね。宇宙にはもっといて不思議はありませんからね」
といったのは、レオン──山田と名乗る男ではなかった。森のなかから長身のひょろりとした色白の男がでてきたのだ。
「山田くん。武器をさげてあげなさい。彼は危険な人物じゃなさそうだ」
どうやら森のなかに姿を隠し、いままで様子をうかがっていたようである。
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