小説「星人募集中7」(推敲前)
「ほかのチームも戻ってくるころです」
岡島がにこやかにいった。
「その前に、機材の管理をしているものを紹介しましょう。おーい!」
彼は宇宙船のなかにむかって呼びかけた。レオンに似た山田はというと、銃を手にこちらを油断なくにらんでいる。
「折原さん」
岡島に呼ばれた。機材管理の担当がでてきたのだろう。
「はじ
」
めまして、と続けるつもりだった。だが振りかえってすぐ、驚愕で目をむくことになった。
ひょろりとした色白の男がいた。岡島だ。ただし、ふたり。
「双子なんですよ、わたしたちは」
ふたりの岡島が、まったく同じタイミングでニヤリと笑った。
「みなさん、同じ反応をしてくれます。たのしいですよ」
「はあ、双子なのか。それはそれは、驚いた」
折原は苦虫をかみつぶしたような顔をした。岡島の予想通りにリアクションしてしまった。しゃくにさわる。そっくりなふたりがいれば、考えるまでもなく双子なのだ。なにをびっくりしてしまったのか。
──いや、しかし。
と、折原は振りかえった。
レオンに似ている山田が、あいかわらず銃をかまえている。
レオンと山田が並べば、双子で通じるだろう。彼らも双子なのだろうか? レオンに兄弟がいたとは聞いていない。金髪碧眼なのに山田という日本名なのも違和感がある。
レオンと山田。
ふたりの岡島。
そっくりな男が二組にいる。
肌がひりつくような、奇妙な予感がしていた。
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