小説「星人募集中9」(推敲前)

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 折原は靴音をかぞえるのやめた。背後にたくさん集まっている。そんな絶望的な状況だけでたくさんだった。具体的な数など知りたくもない。
「どうしました、折原さん。怖い顔して」
 ふたりの岡島が両手をひろげた。安心してくださいのジェスチャーだろうか。
「なにをそんなに怖がってるんですか?」
「怖がる? オレが? まさかあ」
 折原は首を振った。笑みを浮かべ、
「こんな辺境の惑星にたったひとり。クルーも見つからない。不安で不安でたまらなかった。あんたたちに会えてほっとしてるくらいさ」
 親指で背後をさし、
「おまけに、まだこんなにいるなんて心強いよ」
 と、一歩進む。
 二歩目で駆けだした。岡島にむかって一気に距離をつめる。
 山田は慌てているに違いない。おおぜいの仲間が戻ってきたことに安堵し、油断して銃をさげていたのだから。首を振って確認したときは、あまりの僥倖に笑みさえ浮かんでしまった。
 折原は拳銃と岡島の軸線上にはいった。もう撃たれまい。山田の頭がちょっとアレだとしても、岡島にあたる可能性を考えるはずだ。
 ふたりの岡島が顔をこわばらせた。
「撃つな!」
 ふたりがいい終わるよりも早く、銃声がこだました。

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このページは、浅川こうすけが2007年8月22日 18:52に書いたブログ記事です。

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