ふりがなに使う括弧記号について(前編)
勅使河原豚太郎。
人名だ。さて、あなたはなんとお読みになられただろうか?
勅使河原は読めるかもしれない。てしがわら、だ。勅使河原の苗字をもつ有名人は意外にも多いので、どこかで見聞きしていることだろう。
では、豚太郎はどうか?
ぶたたろう、じゃないよ。とんたろう、だよ。
勅使河原豚太郎は「てしがわらとんたろう」と読むのである。もし、勅使河原豚太郎を小説に登場させる場合、ふりがなをふっておくのが親切だろう。
でも、ちょっと待った。オンライン小説だとふりがなをどうやってふる?
手書きの小説なら、勅使河原豚太郎の横に小さく「てしがわらとんたろう」と書けばいい。印刷物ならルビをつける。
オンライン小説だとそういった正攻法はできない。いちおうrubyタグがあるにはあるが、IEの独自採用なので使うのはためらわれる。
では、どうするか。
ふりがなをカッコで囲むのである。
勅使河原豚太郎{てしがわらとんたろう}は身をこわばらせた。
こんなふうに{ }で囲った部分をふりがなとする。
――いままでずっとそうしてきた。
ところが、である。
『句読点、記号・符号活用辞典。』を衝動買いしてみたらば の記事を読んで考えさせられたのである。記事の一部を引用しよう。
今までは「{ }」と言う括弧記号を使っていました。「ブレース」と言う名称だそうです。基本的には、数式で使用する。意味としては「まとめ上げる」役割を持っています。
いわれてみれば数学の授業で使用した記憶がある(使い方はすっかり忘れてしまったが……)。記号本来の意味からすれば{てしがわらとんたろう}という使い方は正しいとはいえないわけだ。
前述の記事ではさらにこう続く。
しかし今度、この辞書でボクは「[ ]」と言う括弧記号の存在を知りました。「ブラケット」と言う名称だそうです。基本的には他の括弧記号と似たような役割を持ちますが。特に、欧文における戯曲や台本でのト書き。そして、言語学や音声学で、音声記号を囲んで音声を表記するために使います。例えば、break [ breik ]
とこのように。辞書で音声を表記するために使う記号ならば、読み仮名に使っても意味が合っています。
国語辞典ならば、「墨付き括弧」と言う、このような「【 】」記号を使うのでしょうが。これは読み仮名に使うには、ちょっと派手すぎますし。
ブラケット記号あたりが、目立ちすぎもせず、普段から多用することもなく、適任かと思うのです。読み仮名[よみがな]
うん、なかなかに読み仮名として似合っているじゃないか。
この辞書とは『句読点、記号・符号活用辞典。』のこと。
多くのかたにとってはどうでもいいことだろう。
「どっちでもいいじゃん」
と思われているだろう。
でもね。気になるんだよなあ。なっちゃうんだよなあ。知らなければずっと{ }を使い続けていたんだけど、知っちゃったからなあ。この問題について、しばらく思案することになりそうだ。
カテゴリ
オンライン小説関連の記事トラックバック(1)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: ふりがなに使う括弧記号について(前編)
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://asakawa.sakura.ne.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/133
ふりがなに使う括弧記号について(前編)の続き。 ふりがなをあらわす括弧記号と... 続きを読む
コメントする